国内でインバウンド誘致を推進するにあたって、見逃せない問題の一つが外国人観光客のマナー問題です。諸外国と日本の文化が違うことから、日本人側から見たときに、「外国人観光客のマナーが悪い」と思うケースがあります。

今回の記事では、外国人の方のマナーが悪いと言われてしまう背景には、どのような理由があるのかを知るとともに、観光を提供する側である日本ができる対策について解説します。

外国人観光客はマナーが悪い?

日本経済の発展や東京オリンピックに向けて重要視されているインバウンド誘致ですが、彼らのマナーが問題として取り上げられることが増えてきました。なぜ、外国人観光客はマナーが悪いと言われる行動を取ってしまうのでしょうか。その理由について、分析してみましょう。

文化の違い

外国人観光客のマナーが悪いと言われてしまう要因の中で、最も大きいとされるのが「文化の違い」です。世界にはたくさんの国があり、それぞれが独自の価値観で文化を発展させてきました。一つとして同じ歴史を辿った国がないからこそ、そこで生まれた常識やマナー、礼儀が国によって異なるのです。

文化が違う例

日本では蕎麦やうどん、ラーメンなどの麺類を食べるときに、「すする」ことが一般的です。しかし、「音をたてて食べるのはマナー違反」とされている国もあります。日本の文化を知らない外国人観光客からすると、日本人は汚い食べ方をしていると思われてしまうのです。

反対に、日本では公衆の場でカップルがハグやキスを交わしていると、「人前で恥ずかしい」と言われてしまいがちですが、ヨーロッパなどでは普通に見られる光景で、気に留める人はほとんどいません。

このように、諸外国と日本では日常のマナーがまったく違う場合があります。そのため、外国人観光客はわざとマナー違反をしているのではなく、その行為が日本で「マナーが悪い」といわれる原因であることを知らない可能性が高いのです。

マナーが悪いといわれる具体例

外国人旅行者が行う言動の中でも、特に「マナー違反」と思われがちなものをご紹介します。これらの行為は、日本人から見ると確かにマナーが悪いと感じるかもしれません。しかし、その背景にある理由や原因を知ると、対策が見えてきます。

ポイ捨て行為

日本では1995年に発生した地下鉄サリン事件をきっかけに、テロ対策として路上にゴミ箱を置かない傾向にあります。そのため、外国人観光客は食べ歩き買い物などで発生したゴミを捨てる場所がわからず、街路樹や路肩の隅にポイ捨てせざるを得ない状況になっているのです。ゴミをポイ捨てせずに、宿泊先やゴミ箱がある場所まで持ち帰ってもらえるような工夫が必要です。

トイレの使い方が汚い

日本では当たり前に使われている水洗トイレですが、国によっては水洗トイレが普及していなかったり、水洗ではあるけれど、トイレットペーパーが流せなかったりする国もあります。そういった国の方々は、使用したトイレットペーパーをトイレ内に設置してあるゴミ箱に捨てることがマナーです。このことから、日本のトイレでも使ったトイレットペーパーを汚物入れに捨ててしまう場合があります。

また、日本のトイレに対する意識は世界的に見ても非常に高く、ウォシュレットや温かい便座は海外セレブも絶賛するほどです。清潔で進化したトイレを使っている日本人から見ると、トイレマナーが悪いと感じる点が多くなってしまうのかもしれません。

列に並ばない

アジア諸国からの訪日外国人を中心に問題になっているのが、「待機列に並ばない」というマナー違反です。彼らは、テーマパークや観光施設で待機列ができていても強引に割り込み、他の観光客やスタッフとトラブルになったり、周囲に不快な思いをさせたりする場合があります。

これは、その国に「列に並ぶ」という文化的習慣がないことが要因として挙げられます。例えば、中国は人口が多いため、並んでいると自身の分け前がなくなる恐れがあるという思考が強く、我先にと群がってしまう心理が働くのだそうです。また、並ぶときも他の人に割り込まれないように、距離を詰めて並ぶ特徴があります。

日本のマナーを知ってもらうために

外国人観光客のマナーを改善するためには、日本のマナーを理解してもらう必要があります。そのためには、積極的な説明や案内を行うことが大切です。どのようなアプローチをすれば、外国人観光客に日本のマナーを理解してもらえるのでしょうか。

多言語表示

特にマナーを守ってほしい場所では、注意を記した看板やシールを貼って注意喚起をしましょう。この注意書きには英語だけではなく、中国語や韓国語などを含めた多言語表記が大切です。トイレの使い方やゴミの分別、飲食店のメニューなど言葉だけでは説明しづらい場合は、イラストを使うと、どの国の人でも分かりやすい案内になるでしょう。

パンフレットの配布

温泉やホテル、大型ショッピングセンターなどでは、入場時に注意書きや施設案内、マナーの説明を記したパンフレットを配ることも効果的です。パンフレットを多言語で表記したり、言語ごとに冊子を用意したりして、多言語に対応しましょう。

タブレッド型通訳サービスの導入

注意書きの掲示やパンフレットの配布も効果的ですが、それだけでは細かいニュアンスが外国人観光客に伝わりづらいこともあります。タブレット型通訳サービスを導入し、パンフレットや注意書きなどの補足を充実させることで、日本人観光客も外国人観光客も楽しめる観光地になるでしょう。

タブレット型通訳サービスは、タブレットを使用して手軽に通訳サービスを受けられます。スタッフが外国人観光客に係りきりになって業務に支障が出たり、上手くマナーを伝えられず観光を楽しんでもらえなかったりといったリスクを軽減させることが可能です。

日本のマナーを伝えてお互いにストレスなく過ごそう

インバウンド誘致がもたらす経済効果を得るためには、地域住民や観光業に従事する人々がストレスを感じて、「外国人観光客を受け入れたくない」と思う状態をなくしていかなければなりません。そのためには、外国人観光客がマナー違反をしてしまう理由を知り、それを防ぐためのアプローチが重要です。マナーの伝え方を工夫して、その場に暮らす日本人も、旅行で訪れる外国人観光客も気分良く過ごせる環境を作りましょう。