日本を訪れる外国人観光客の数が2012年の836万人から、2017年には約3.4倍となる2,869万人と、近年急激に増加してきました。インバウンド産業が日本経済に与える影響は年々大きくなっており、インバウンド対応が飲食業や宿泊業を盛り上げていくために欠かせない要素になっています。

そこで今回は、外国人観光客が喜ぶ対応おもてなし(接遇)について、業界別に解説します。

参考:国土交通省 観光白書

日本のおもてなし【飲食業編】

海外における日本食の人気は高まっており、これを目当てに日本を訪れる外国人旅行者が増加しています。それに伴い、飲食業界での外国人観光客の重要性も高まっているといえるでしょう。まずは、飲食業で外国人の方々に行いたい、日本のおもてなしについて見ていきます。

おしぼり・お水

日本以外の国では、おしぼりやお水などを無料で提供している国が少ないのをご存じでしょうか。このことから、おしぼりやお水といったサービスは、日本らしさを演出するアピールポイントとして活用できそうです。特に海外では、飲料水はお金を払って買う商品ですので、日本の豊かな自然環境と水源を理解してもらうことにもつながるでしょう。

食券制度の説明

飲食店での食券制度は、日本で根付いている制度ですが、海外では珍しいものです。食後に払ったり、食前に払ったりする場合でも、食券を買うのではなく、現金やカードで直接支払うのが主流です。このことからも、外国人観光客にとって食券制度の説明が必要といえます。英語や他の主要な言語で、食券制度の支払い方法について分かりやすく解説して、お客様もお店側スタッフもスムーズに購入・販売を行えるようにしましょう。

料理の説明

日本食文化は諸外国の文化と違い、商品名だけ見てもイメージがつきづらいようです。中には事前に調べてくる方もいますが、そのお店のメニューを見てすぐに理解でき、把握できるのが理想的。接客の際やメニューを見たときに、その料理がどのような材料でどのように調理されたものなのか説明すると、より料理に興味を持ってもらい、楽しんでもらえるでしょう。

母国語に対応したメニュー

料理名をローマ字で表示するだけでなく、英語や中国語などの主要言語に翻訳したものをメニューに載せ、簡潔な料理の説明やイラスト・写真をつけるとより親切です。その料理に対する理解を深め、その上で食べることができればより満足度も高まります。

食べ方の説明

日本のレストランやお食事処には、塩、しょうゆ、ソースなどさまざまな種類の調味料が置かれています。料理の種類によって、どの調味料を付けるのが美味しい食べ方なのか異なるので、その料理を最も美味しく食べてもらうためには、事前に説明を行うことも重要です。日本は地域による食文化の違いもあるので、丁寧な説明は、より美味しく味わってもらうためにも欠かせません。適切な情報を元に、最良の方法で食べてもらえれば、日本食を気に入ってもらえる可能性が高まるでしょう。

ベジタリアン・ビーガン向けの料理

海外では宗教上の問題や食文化の違い、倫理上の問題で食べられるものが限られている方が多くいます。特に宗教上、倫理上の問題は間違いが起こったときに、重大な事態に陥ってしまう可能性もあるので、その料理にどのような原料が使われているかをきちんと明示することが必要です。宗教によっては、原料に使われているエキスでさえ問題になることがあるので、主要な宗教でタブーとなる食品に関しては、調べておくといいでしょう。

また、異なる食文化、宗教、倫理観を持つ方々が食事を楽しめるよう、メニューの多様化を図ることも検討する価値があります。それぞれのカテゴリーで、食べられない食品をチェックし、どういった方が来ても料理を選べるようなラインナップを用意すれば、食べられないから他の店にいくというリスクを減らすことができるでしょう。

日本のおもてなし【宿泊業編】

外国人観光客の増加に伴い、活性化が進んでいるのが宿泊業です。宿泊業は外国人観光客の旅行の満足度に直接影響を及ぼし、リピート率や日本旅行の感想に大きく関わる重要な分野です。ここでは、宿泊業界が留意すべき点についてご紹介します。

靴を脱ぐ習慣を説明

海外の多くの国では、部屋の中で靴を脱ぐ習慣がありません。ホテルはともかく、旅館では靴を脱ぐ必要があるので、建物に入る前に外国人の方がこの習慣を理解できるような説明を行うことが必要です。靴を脱ぐことを守っている他のお客さまが嫌な思いをしないよう、ホスト側がしっかり説明して、気持ち良く利用できるようにしましょう。

温泉の入り方

宿泊施設内や観光地周辺にある温泉は、日本観光の大きな魅力の一つです。温かいお湯にゆったり浸かることはリラックス効果もあり、日本旅行を思い出深いものにするでしょう。ただし、海外では大勢で裸のままお風呂に入る習慣がない方も多く、大浴場やサウナで水着を着用する国もあります。全てのお客さまが気持ち良く利用できるように、温泉の入り方について分かりやすい説明が必要です。

丁寧な接客を行う

日本旅行を他の国と違った印象深いものにするためには、日本ならではのインパクトも大事。例えば、お出迎えやお見送り等の日本独自の「おもてなし」は、外国人観光客に非日常感と特別性を感じさせることができます。他の国にない丁寧な接客は、それだけで価値があるのです。

母国語での対応

日本を楽しむ上で、外国人旅行者にとって大きな障害になるのが言語の問題です。日本では日本語以外の言語が通じづらいので、旅行者たちに日本文化を理解してもらい、さまざまな体験をしてもらうときの妨げになっています。母国語で対応すれば、より日本旅行への満足度が高くなるでしょう。そのためには、通訳士を採用したり、対応者がタブレット型通訳サービスを利用したりすることが有効です。日本文化が自国の文化と違うことを、彼らに理解してもらうための環境作りをしていきましょう。

インバウンドを盛り上げるための日本のおもてなし

インバウンド産業を盛り上げていくためには、飲食業や宿泊業で日本の文化を分かりやすく説明することが重要です。注意するべき点については、インバウンド対応の研修やセミナーを開くことでスキルアップを図るのも良いでしょう。日本ならではのおもてなしで、外国人観光客に日本旅行を楽しんでもらえれば、彼らがもっと日本を好きになり、インバウンド産業はますます発展していくでしょう。