現在、大阪が海外旅行者に人気なのをご存じでしょうか?
アメリカのマスターカードが発表している世界の海外旅行市場レポート「Mastercard Destination Cities Index」で、2009~2016年にかけて海外旅行者の年平均増加率が最も大きかった都市は日本の大阪でした。この期間、大阪を訪れた外国人観光客数は年平均プラス24%で、約4.5倍増加したことになります。日本国内でも屈指の都市である大阪ですが、これほど海外から注目を浴びるようになった背景にはどのような理由があるのでしょうか。

今回は、大阪の現状外国人観光客が増えている理由について解説します。

参考: Mastercard 調査「2018 年度世界渡航先ランキング」
外国人旅行者の増加率“世界一”の大阪 注目のホテルも続々開業

大阪の現状

インバウンド消費額が大きく増加した大阪ですが、最初から訪日旅行者が多い訳ではありませんでした。実は、ここ数年だけで大幅に観光客数が増えたのです。

大阪を訪問した外国人客が1000万人を突破!

インバウンド市場は年々増加していますが、その中でも大阪は平成29年に初めて1000万人を突破しました。この年、日本を訪れた外国人客は過去最高の2800万人超となり、その内、大阪を訪問したのは約1111万人です。つまり、約40%が大阪を訪れていることになり、前年比では約18%の増加です。伸び率に関していえば東京を上回っており、平成23年の約158万人から考えると6年で7倍に跳ねあがったことになります。

参考:【関西の議論】訪日外国人千万人突破した「観光都市OSAKA」…道頓堀、大阪城、USJに続く「人気スポット」とは

2020年までに1300万人が目標

平成25年「大阪の都市魅力創造」を掲げて、大阪府と関西経済団体が大阪観光局を設立しました。その当時は「2020年までに訪日外国人を650万人に増やすこと」が目標でしたが、すぐに達成してしまったため、現在では目標を「1300万人」に修正しています。

大阪は観光客を誘致するために、さまざまなインバウンド対策を行ってきました。その戦略の一つが「大阪周遊パス」で、電車やバスが乗り放題になるだけではなく、約35の観光スポットが無料で利用可能となっています。また、海外の人気ブロガーやSNS発信者を無料招待して、大阪の魅力を拡散するというネットを活かした戦略もうまく機能しているようです。現在の勢いだと、1300万人の目標もすぐに達成するかもしれませんね。

外国人観光客が増えている理由

大阪を訪問する外国人観光客が増えたのは、大阪観光局によるアピールが功を奏したからといえるでしょう。しかし、それ以外にも急増の理由があるようです。

無料Wi-Fiが増えた

海外旅行で重要視されるのがネット環境です。観光庁が2017年2月に発表した「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート」では、無料Wi-Fiは最も利用率が高い通信接続手段だという結果が出ました。

大阪府は通信事業者と協力して観光情報や医療・防災情報が入手できる「Osaka Free Wifi/ Osaka Free Wi-Fi Lite」を運用しています。この無料Wi-Fiは6000カ所以上のアクセスポイントに接続可能な上、英語・中国語・韓国語にも対応しているため、外国人観光客が安心して府内観光できるといえるでしょう。また阪急電鉄で使える「HANKYU-HANSHIN WELCOME Wi-Fi」なども整備されています。

多言語に力を入れている

店舗接客では言葉が通じないことが問題視されていますが、大阪府はどのエリアよりも多言語表示に注力しています。大阪市中央区東心斎橋にある寿司店では、ネタが乗った寿司写真に合わせて、英語・中国語・韓国語の説明をつけるなど、言葉そのものはわからなくても、外国人客に上手く対応できるように工夫しています。最近はあらかじめインターネットで予約をしてくる外国人訪問者も多いようです。

また、大阪市交通局は市営地下鉄の主要12駅で「クラウド型ビデオ通訳サービス」を導入しており、タブレット端末を通して外国人客と通訳者がリアルタイムで会話できるようになっています。英語・中国語(北京語)・韓国(朝鮮)語・ポルトガル語・スペイン語の5カ国語に対応しており、画像共有も可能なため一緒に資料を確認しながら通訳できるという強みがあります。

この他にも外国語対応可能な案内専門の職員として「サービスマネージャー」を配置するなど、多言語対応に熱心に取り組んでいます。

外国人対応マニュアルがある

大阪府の健康福祉部薬務課では「外国人対応マニュアル」を作成して、薬局店頭での外国人対応に注力しています。旅先での病気やケガはかなり不安になりますが、このような対策を行うことで観光客もいざというとき薬局に足を運びやすいでしょう。楽しく観光できるだけではなく、安心できるという点も高評価につながっているのかもしれません。

大阪の食文化が評価されている

細かい外国人対応のほかにも、大阪ならではのグルメが評価されています。大阪といえば「食いだおれ」が有名ですが、アメリカのニューヨーク・タイムズ紙の記事では「究極の日本のごちそうが待っている」という内容で大阪の名前も挙げているのです。この記事では、ミシュラン登録店が多いなど、食文化が魅力的な街として記載されています。

最近は韓国・中国・東南アジアで日本食ブームが起きているため、食事を目当てに大阪を訪問する方も多いようです。外国人観光客に人気なのは「ラーメン」「すし」「たこ焼き」「天ぷら」「焼肉」「お好み焼き」などで、大阪らしい“粉もの”や“イカ焼き”など、独特な食べ物も高評価を得ているとわかります。

観光地が多い

大阪の強みは食文化だけにとどまりません。「道頓堀」「大阪城」「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」など、観光地が多いことも魅力の一つです。関西のサブカルチャー街である「日本橋」や、「梅田スカイビル空中展望台」「通天閣海遊館」なども観光スポットとして人気を博しています。

観光地に近い

大阪府内の観光以外にも、京都・奈良といった人気観光地に近いことが大阪の魅力をアップさせています。清水寺や姫路城など世界遺産を見たいという観光客は多くなっていますが、そのような場合でも大阪なら日帰りでアクセスが可能です。交通機関が整備されているだけでなく、ホテルなどのインバウンド宿泊施設も充実しているため、関西方面の観光拠点として高い評価を得ているのでしょう。

また、最近は格安航空会社(LCC)の増便により、関西国際空港発着の国際便が増加しています。特に韓国の4つの空港と関空を結ぶLCCは拡充しており、成田・羽田空港を結ぶ韓国路線の倍以上です。東京に比べて短時間で移動できるため、韓国の若者にとって大阪は近くて安い安全な場所として人気が高まっています。

海外でも認められる「OSAKA」

大阪は海外でも名前を知られるほど人気の観光スポット。その背景には、官民一体となったインバウンド需要に対する配慮がありました。特に、多言語対応をしたことは大きかったといえるでしょう。他の都市がこれに追随するには、タブレット型通訳サービスであるライブ通訳などの多言語通訳サービスの導入がおすすめです。言葉が通じるだけでも安心感があるので、各地の魅力発信につながっていくでしょう。