日本のインバウンド産業を考える上で訪問客の国・地域毎の動向を把握することは重要です。インバウンド産業を盛り上げていくためには、ターゲット毎の対策を立てていかねばなりません。韓国は日本に最も近い国ですが、インバウンド市場にとっても重要なお客さまになっています。その特徴は他の諸外国と大きく異なっており、韓国人観光客の消費動向を把握することはインバウンド産業にとっても欠かすことができません。

今回の記事では、訪日韓国人の特徴と彼らに対する課題について解説します。

訪日韓国人の特徴

日本を訪れる韓国人客たちには、どのような特徴があるのでしょうか。身近な国ですが、あまり知らない韓国人観光客の特徴をトピック毎に見ていきます。

若者の短期滞在が多い

訪日韓国人観光客の特徴として、他と変わっているのは滞在日数の短さが挙げられます。彼らにとって日本旅行は海外旅行にも関わらず、平成29年度の観光庁のデータを見ると日本旅行一回につき4.3泊しかしていないのです。一週間に満たない短期滞在は、驚くほど短いといえるでしょう。

同じく地理的に近い地域では台湾、中国などがありますが、訪日台湾人観光客が一回の平均滞在が6.7日、訪日中国人観光客が10.9日と大きな違いがあります。どうして訪日韓国人の滞在日数は中国のそれの半分にも満たないのでしょうか。それには韓国人観光客の年齢構成にヒントがあります。実は訪日韓国人は若者を中心としていて、彼らの短期滞在が平均日数を大幅に下げているのです。

参照:観光庁「訪日外国人の消費動向 平成29年年次報告書」

リピーター率が高い

訪日韓国人のもう一つの大きな特徴として、リピーター率が高いことが挙げられます。前出の平成29年観光庁のデータによると訪日韓国人のうち日本を初めて訪問した方は全体の31.8%です。つまり3分の2以上が日本を複数回訪問していることになります。複数回訪問した方々の割合が韓国より多いのは台湾と香港しかなく、韓国人客のリピーター率の高さが伺えるのです。

このことから、韓国人観光客は若年層が中心を占めており、経済的にそれほど潤沢ではないので短期滞在を繰り返して日本を楽しんでいるといえるでしょう。

地方都市に訪れる人が多い

若者の短期旅行が多くリピーター率が高い韓国人観光客ですが、日本での動向はどのようなものなのでしょうか。彼らは東京・大阪などの中心的大都市だけでなく、地方都市を訪問することが多いようです。彼らの日本での動向について見ていきましょう。

韓国から近い都市が人気

韓国人観光客にとって人気の観光地は福岡、沖縄などの韓国から近い地方都市になっています。彼らにとって大都市であり、韓国から距離のある東京に行くより、短期滞在でも気軽に行って帰れる福岡や沖縄などの近い都市が人気を集めているのです。

LCCの増加

日本政府観光局の2018年2月の地域別訪日旅行市場の概況によると、訪日韓国人の地方都市への旅行を後押ししているのはLCCの増加にあると分析されています。韓国人客の一人当たりの日本での消費金額は平均よりかなり少ないため、彼らが経済性に優れた移動手段を好むことが挙げられます。特に韓国から日本の地方都市への直行便が増えたことが、訪日韓国人の旅行動向に影響していると考えられるでしょう。

参照:日本政府観光局「訪日外客数(2018 年 2 月推計値)」

今後の課題

韓国人観光客の旅行消費額は中国、台湾に次いで3位と日本のインバウンド産業に大きく貢献しています。今後も韓国人客の心をがっちりつかみながら、彼らの日本訪問のペースや消費額を維持、増加させていくことはインバウンド消費にとって重要です。訪日韓国人の日本観光を考えたときの今後の課題とは、何があるのでしょうか。

地方都市の受け入れ状況の改善

韓国人旅行者は日本の地方都市を多く観光しています。外国人旅行客の多い東京では、彼らの受け入れ状況が改善されていますが、地方都市の中にはそうでないところもあるのが現状です。外国人客が訪問しやすいようフリーWi-fiの整備や、地方都市の魅力を発信していくなど地方都市での受け入れを促進する必要があります。

消費を増やす

訪日韓国人の特徴として一回の消費額が少ないことを挙げました。彼らは若者が多いため、どうしても消費が少なくなってしまう傾向にあるのです。若者向けのお土産や観光地を整備すること、彼らが多くの目的を持って日本観光に訪れるよう、モノを売るだけでなく体験型経験を価値とした消費を売り込むことなどが、消費量を増やすための施策として大切になるでしょう。

多言語対策

多くの外国人旅行者にとって日本を訪問する上で障壁になるのが言葉です。日本人は英語を始めとする外国語を得意としていない人が多いため、意思疎通をする際に問題が起こってしまいます。ですが、短期間では英語や韓国語を話せるようにならないので、通訳士やタブレッド型通訳サービスなどすぐに導入できて便利な多言語対策をすることが必要です。

また、宿泊施設や観光地における案内表示なども日本語だけでなく、多言語で表示すると、彼らの満足度を向上させることができるでしょう。

韓国人旅行者の日本旅行を盛り上げるために

訪日韓国人の特徴や、今後のインバウンド市場を盛り上げるための対策について見てきました。韓国人観光客は若者が多く、リピート率が高いという特徴がありますが、その反面一回の旅行の滞在が短く消費額が少ないという課題があります。地方都市の外国人受け入れの状況改善や多言語対策などによって、訪日旅行一回当りの消費額を増加させることは、日本のインバウンド全体を盛り上げる力になるでしょう。