近年、日本国内のテレビや新聞、インターネットなど、さまざまなメディアで日本旅行をする外国人客のニュースを目にするようになってきました。

2020年には東京オリンピック・パラリンピック開催が予定されており、日本政府は実際の施策の一つとして、観光ビザの発給要件を年々緩和しています。
このように国を挙げて「観光立国」政策が進められるなか、訪日客への対応が求められるのは、企業や店舗も同様です。

今回の記事では、外国人旅行客の訪日目的や、インバウンドへの対応が必要な業界などについてご紹介していきます。

増えていく訪日外国人

近年、訪日外国人観光客が増加しており、その旅行消費額も膨らんできています。
観光庁の統計から、この傾向をもう少し具体的に見ていきましょう。

■訪日客数と旅行消費額の急増

訪日外国人の総数は年々増加し、平成23年の622万人から、平成29年には2,869万人に上りました。同時に旅行消費額も、平成23年の8,135億円から、平成29年には4兆4,161億円にまで増加。

この数字から、6年間のうちに訪日外国人数が約4.6倍、旅行消費額が約5.4倍と急増していることが読み取れます。

■アジア圏内からの訪日客が全体の半数以上を占める

訪日外国人の平成29年旅行消費額を国籍・地域別に見ていくと、1位が中国の38.4%で、台湾(13.0%)、韓国(11.6%)、香港(7.7%)、米国(5.7%)と続きます。

このように、訪日外国人の数、さらにはその旅行消費額は年々増加しており、日本の企業や店舗にとって重要なターゲットになるといえるでしょう。

訪日外国人客はココにお金を使う

訪日客の国籍によって宿泊、飲食、買い物など、お金の使用用途に違いがあります。
訪日外国人客がどんなことにお金を消費しているのか、見ていきましょう。

■訪日客数と旅行消費額の急増

平成29年のデータを参考にすると、訪日外国人全体の消費額は、買い物(全消費額の37.1%)が最も高く、続いて宿泊費(28.2%)、飲食費(20.1%)、交通費(11.0%)、娯楽サービス費(3.3%)です。

各国ごとにその使用用途は異なり、買物代に最もお金を費やすのは中国人で、一人あたり平均で11万9,319円消費しています。

■訪日客数と旅行消費額の急増

宿泊代に最もお金を費やしているのはイギリスからの観光客で、一人あたりの宿泊代は平均9万7,303円。2位はオーストラリア、3位はフランスと続きます。
イギリス人は飲食にもお金を費やしており、一人あたりの平均額は5万1,289円です。

小売店やホテル、飲食店などでは、このような外国人客の傾向を分析し、ニーズに合わせて対応することが求められています。うまく訪日客の心をつかめば、店舗や企業にとって大きなビジネスチャンスとなるでしょう。

外国人観光客の目的

外国人客の日本での消費額だけではなく、訪日した目的についても考える必要があります。

観光庁の調査によれば、「外国人が訪日前に期待していたこと」で最も多いのは「日本食を食べること」(67.7%)。次いで「ショッピング」(53.8%)、「自然・景勝地観光」(45.7%)、「繁華街の街歩き」(40.6%)、「温泉入浴」(25.5%)が続きます。

日本食の中では、海外でも知名度が高い「寿司」や、「ラーメン」といった料理の人気が高く、実際に食べた訪日客からも高く評価されています。
「温泉」は海外では珍しい文化ですが、近年少しずつ認知され、人気が高まってきているようです。

参考:観光庁「訪日外国人消費動向調査」

今後は「コト消費」が求められる

ここまで訪日外国人の数やその国籍、日本での目的別消費額などについて考えてきました。
これらを分析するために有効なのは、「モノ消費」「コト消費」という考え方です。

■「モノ消費」と「コト消費」

「モノ消費」とは、製品やサービスといった「モノ」の機能的価値を消費することを指します。
対して「コト消費」とは、個別の事象が連なった「一連の体験」を対象とした消費活動のこと。複数の製品やサービスが一連の体験の中に溶け込み、1つの価値を提供することを指します。

■具体的な例

金銭を支払って、商品を得る買い物は「モノ消費」に含まれます。
それに対して、買い物や食事をしながら、情緒ある街並みを見学できる「街歩き」は、買い物・食事・景観見物といった複数のサービスが「街歩き」という体験の中に溶け込んだ「コト消費」です。

参考:経済産業省地域経済産業グループ「平成27年度 地域経済産業活性化対策調査 (地域の魅力的な空間と機能づくりに関する調査) 報告書」

国全体での外国語対応が求められる

訪日外国人客の増加というまたとないビジネスチャンスを最大限活用するには、訪日客層の動向を分析し、”今、どんなものが求められているか””それに対して企業・店舗で何ができるか”を考えることが必要不可欠です。

観光業界や観光地周辺の店舗で行われている施策を参考にしつつ、「コト消費」を生み出す環境を整えることが急務といえるでしょう。