数年前、「爆買い」が話題になったように、日本でショッピングを楽しむインバウンドは多くなってきました。クレジットカードや仮想通貨などが普及している今、インバウンドの決済方法はさまざまです。インバウンド層を積極的に呼び込みたい企業や店舗では、多様化する決済方法への対応が求められていくでしょう。

今回の記事では、インバウンドの決済方法と、日本企業でできる施策についてご紹介していきます。

インバウンドが抱く日本の決済への不満

訪日外国人客の数は年々増加し、その国籍や旅行時の傾向も多様化してきました。そんな中、訪日客からは日本での「決済方法」について不満の声が挙がっているようです。

平成28年の観光庁の調査では、訪日客の13.6%が、日本旅行時の「クレジットカード、デビットカードの利用」に不満を感じているという結果が出ました。同項目は平成27年には10.8%、平成26年度には16.1%となっており、現在も不満を解消しきれているとはいえない状況です。
その要因としては、クレジットカードの利用以外に、デビッドカード銀聯カードなど、使用するカードの種類が多様化してきたことが挙げられます。

参考:『訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート』

海外での決済事情

インバウンドは自国で買い物をする際、どのような決済を行っているのでしょうか。ここでは、海外での決済事情についてみていきましょう。

海外では「カード払い」が増加

海外では、カードを利用した決済が普及しています。日本クレジットカード協会がおこなった『観光立国実現に向けたクレジットカード業界としての取り組み』という調査によると、訪日客の大きな割合を占めている韓国、中国でのカード利用率は、それぞれ73.1%55.5%と高くなっています。一方で、日本のカード利用率は15.9%。この結果から、海外ではカードの利用率が高く、日本はやや遅れをとっていることが分かります。

最近ではクレジットカードだけでなく、銀行で発行され、使ったお金が即時引き落としとなる「デビットカード」も普及してきました。中国では、中国銀聯(ぎんれん)が発行する「銀聯カード」の利用が増加しており、「カード払い」といっても、その種類は多様化してきています。

電子マネー・仮想通貨による支払いの増加

カード決済のほかに、電子マネー仮想通貨による決済も増加してきました。
電子マネーによる支払いでは、iPhoneで使える「Applepay」や、カード会社が提供する「MasterCard PayPass」「VISA payWave」などが多く利用されています。中国では、QRコードを利用して支払う「Alipay(アリペイ)」の利用も増加してきました。

仮想通貨による決済では「ビットコイン」「リップル」などが使われており、スマートフォンの「ウォレットアプリ」を用いて簡単に決済ができる点が特徴です。現在は仮想通貨決済に対応している店舗が少ないため、早めに取り入れることで、店舗のアピールポイントとなるでしょう。

日本の店舗でできること

ご紹介したように、海外では日本以上に決済方法が多様化しています。では、そんな海外からのお客様に対し、日本の店舗ではどのような対応ができるのでしょうか。

複数の決済方法に対応する

日本の小売店、飲食店などでは、クレジットカードはもちろん、デビットカードや銀聯カードなどの決済に対応した端末を、店舗に設置する必要があります。近年は海外で電子マネーや仮想通貨の利用も増えているため、それらの決済方法への対応も進めておくといいでしょう。

対応可能な決済方法を分かりやすく表示する

「店舗でカードが使えるかどうか分からない」という理由から、訪日時にクレジットカードを持ってきても、使用しない訪日客がいるようです。

訪日旅行者を迎え入れる店舗では、ホームページに対応可能な決済方法を載せておくといった工夫をしましょう。他に、店舗の外壁や入り口付近などに、対応可能な決済方法の一覧表を貼っておくのも効果的です。店舗に入る前に決済方法が確認できれば、訪日客も安心して買い物ができるでしょう。

決済時に言語の壁を感じさせない

訪日外国人客は、日本でカードの利用をためらう理由として、「言葉が通じない」点を挙げています。店舗側では、外国語を話せるスタッフを雇用する、スタッフ向けに外国語の研修をおこなうなど、外国人客が不自由なくコミュニケーションをとれる環境を整えておきましょう。

スタッフの増員や教育が難しい場合には、「電話通訳」や「タブレット型通訳」といった通訳サービスを導入するといった対策も可能です。キャッシュレスでのスムーズな決済が実現すれば、旅行者の満足度を高める効果が期待できるでしょう。

多様な決済方法に対応して、インバウンドを呼び込む

さまざまな方法で決済ができれば、日本での買い物がスムーズになり、よりインバウンドの消費活動が活発になると予想できます。とくに現金以外の決済への対応が遅れがちな、地方の店舗や観光地では、迅速な対応が求められていくでしょう。各店舗で訪日客の決済事情を知り、多様な決済方法の導入と、カードや電子マネーを利用しやすい環境づくりを進めてみてはいかがでしょうか。