近年、訪日外国人旅行者の数が増加しており、その経済効果も大きなものになってきました。さまざまな商品を購入していく外国人旅行者に対し、日本では「免税制度」が導入され、消費税を免除して商品を販売する店舗が増えています。

今回の記事では、インバウンド(訪日外国人客)向けの免税制度免税販売の方法手続きの流れなどについて、詳しくご紹介していきます。

注目が集まる「免税制度」とは?

観光庁の調査によると、訪日外国人旅行者の買い物による年間消費額は、2012年から2017年までの5年間で約5倍に増加してきました。この理由の一つとして、免税制度によって日本の商品を安い値段で購入できることが挙げられます。

「免税品」というと、空港のような特別な店舗のみで販売されていると考える方も多いかもしれません。しかし実際には、一般の小売店でも免税販売が可能です。ドラッグストアや量販店などで免税販売を行う店舗も増加しており、2017年4月1日時点での消費税免税店の店舗数は40,532店にのぼっています。

参考:観光庁『都道府県別消費税免税店数(2017年4月1日現在)について』

免税制度の概要

免税制度は、日本国内で外国人を対象に、消費税がかからない(Tax free)商品を販売する制度です。外国人旅行者が日本で購入したものをお土産として持ち帰る場合は、消費税が免除される輸出取引と実質的に同様とみなされ、国内で必要な消費税などの間接税が免除されます。

日本の免税制度の特徴は、免税手続きが簡単な点です。ヨーロッパの多くの国々の免税制度では、出国時に税関で確認してもらい、出国してから税金分が還付される「還付方式」を採用しています。これに対し、日本では商品を購入する段階で免税手続きが可能になっており、空港で還付受付のために並ぶ必要がなく、外国人旅行者にとって大変お得な制度です。

免税対象となる人・もの

免税の対象者は、外国人旅行者だけではありません。日本人の方でも、国外の会社に勤務している場合や、2年以上国外に住んでいる方などは「非居住者」となるため、免税の対象です。反対に出身が海外でも、日本の企業で働いている方や、日本に6か月以上滞在している方は「居住者」とみなされ、免税の対象になりません。

免税対象となる品物は、家電製品や衣類、時計や宝飾品、民芸品などの一般物品です。平成26年10月1日からは新たに食品や化粧品、飲料や医薬品などの消耗品を含めたすべての商品が消費税免税の対象となりました。

参考:観光庁『免税店とは』

免税販売を行う方法

免税店として免税販売を行うには、税務署の許可が必要です。具体的にはどのような手続きが必要なのでしょうか。

「免税店」になるには?

免税店になるには、事業者が納税している地域の税務署「輸出物品販売場許可申請書(一般型用)」を提出して申請し、「輸出物品販売場」の許可を得る必要があります。申請は店舗ごとにおこない、その際には次のような参考書類を提出します。

  • 販売場の見取図
  • 社内の免税販売マニュアル
  • 会社案内や企業ホームページなど、事業内容が分かるもの
  • 取り扱っている主な商品が分かるもの

免税店として申請することを考えている事業者の方は、早めにこれらの書類を準備しておきましょう。

参考:観光庁『免税店になるには』

審査される点

税務署の審査では、次の点が満たされているかを確認します。

  • 店舗を経営している事業者が、国税を滞納していないかどうか
  • 店舗が外国人観光客の非居住者の利用している場所か、これから利用が見込まれる場所であるかどうか
  • 非居住者に対する販売に必要なスタッフが配置されているかどうか
  • 非居住者に対する販売に必要な物的施設があるかどうか

「非居住者が利用している場所」には、空港や港、訪日客に人気の観光地などが該当します。
さらに「非居住者に対する販売に必要なスタッフ」は、必ずしも外国語が流ちょうに話せる人材を指すわけではありません。マニュアルやパンフレットを使用して、外国人のお客様に手続きの方法を説明できるスタッフのことを指します。

参考:観光庁『免税店になるには』

免税手続きの流れと注意点

免税店では、商品をはじめから税抜き価格で販売することはなく、商品購入後に手続きをして、消費税を返金します。ここでは、免税手続きの流れについて見ていきましょう。

免税手続きの流れ

免税手続きの主な流れは、次のようになります。

  1. パスポートから、商品の購入者が非居住者であることを確認する
  2. 商品と購入時のレシートを照らし合わせ、その店舗で購入した商品であることを確認する
  3. レシートの情報をもとに購入記録表を作成し、パスポートに貼り付けて割り印を押す
  4. 購入者誓約書を作成して、お客様に署名、提出してもらう
  5. 商品が消耗品の場合は、プラスチック製の袋や段ボール箱などで包装し、開封した場合に開封したことがわかるシールで封印する
  6. 消費税分の金額を返金する

参考:『販売店舗・免税手続カウンターにおける免税手続きの流れについて』

多言語への対応が必要

日本を訪れる外国人観光客のうち、全員が日本語を話せるわけではありません。そのため、免税販売を行う際は、英語を話せる販売員が必要です。近年では、中国や台湾などのアジアからの外国人観光客が増加してきており、英語が話せるだけでは対応しきれないケースもあります。とくに中国や台湾などのアジアの国々からの観光客は、客数が多く消費額が大きいため、それぞれの言語への対応が必要な場面も多くなるでしょう。

免税手続きをスムーズに行うためには、多言語で手続きの流れだけでも説明できるような対策が必要です。しかし小規模な小売店では、複数言語に堪能なスタッフを置くことは難しいかもしれません。観光庁で公表されている『多言語説明シート』を活用したり、通訳サービスを導入したりして、多言語への対応を強化しましょう。

これからも伸びが期待されるインバウンド消費

2020年に東京オリンピック、パラリンピックが開催されるため、今後はさらに多くの外国人が日本を訪れ、インバウンド消費が伸びていくと期待されます。免税販売を導入して訪日外国人客を購買者に取り込むことは、競争が激しい小売業界にとって重要な経営戦略のひとつといえるでしょう。

免税機能の付いたレジスターやアプリなどが増え、免税の申請や手続きは簡単になってきました。この機会に、免税店になることを目指してみてはいかがでしょうか。