2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、日本では国をあげてインバウンド誘致を行い、観光先進国に向けた目標が掲げられました。政府が公式に発表した目標数値を達成するためには、各自治体や企業のインバウンド対策が欠かせません。

今回は、日本における旅行者数や消費額の政府目標とそれらを達成するためにできることについて解説します。

目標1:旅行客数の増加

東京オリンピック・パラリンピックに向けて、訪日外国人旅行者の目標人数は2020年までに2000万人とされていました。しかし、2015年の時点で訪日外国人旅行者数が約1900万人を上回ったことで、2016年に行われた「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」によって大幅な目標人数の引き上げが行われました。

加えて、新たな目標として日本に観光目的で訪れる訪日外国人旅行者の数だけではなく、地方都市の宿泊者数やリピーター数の目標人数なども、細かく設定されています。

参考:首相官邸「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」

2020年までに訪日外国人数を4000万人

訪日外国人旅行者数が急激に増加していることを受けて目標が見直され、2020年までに4000万人と、以前の2倍も高い目標が設定されました。

また、2030年には訪日外国人数が6000万人を突破するという目標も掲げられています。これは、東京オリンピック・パラリンピックが行われた翌年以降も、日本への注目が高まることを予想した上での数値と考えられるでしょう。国が推進する旅行者数の目標に達するためには、「世界に注目される日本」と「快適で過ごしやすい旅行環境」のアピールが必要です。

地方都市の宿泊者数を7000万人

同会議では、2020年までに地方都市の宿泊者数を延べ7000万人とする目標も掲げられました。これは、インバウンド誘致を地方の観光地に広げるための重要な目標値です。

現状、訪日外国人が選ぶ観光ゴールデンルートに位置する都市部は、インバウンドによる経済的な効果を受けやすくなっています。一方で、ルートから外れてしまう都市部は、その恩恵が受けづらいという問題があります。訪日外国人旅行者の関心を地方へ広げ、宿泊者数を増やす取り組みが地方都市の経済を発展させ、地方創生の推進につながるのです。

リピーター数を2400万人

日本を観光先進国として確立させるためには、日本に関心を持って何度も訪れてくれる「リピーター数」の増加が欠かせません。リピーター数の目標を2400万人とするとともに、さらなる増加を視野に入れて、2030年の目標を現状の約3倍の3600万人としています。

訪日観光客のリピーターを増加させるために、日本独自の文化や観光スポットのアピールを行い、「また日本に訪れたい」と思ってもらう必要があります。さらに、外国人の方々が快適に過ごせるサービスの向上や他言語対応の拡大など、さまざまな課題が求められるでしょう。

目標2:消費額の増額

訪日外国人観光客の増加は、日本を観光先進国としてアピールするだけはありません。インバウンドによる観光収入を、日本の経済成長にもつなげる目的があります。そのため、「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」では旅行者数だけだはなく、旅行者の観光による消費額の目標も定められました。

旅行消費額を2020年までに8兆円

政府は訪日外国人旅行消費額を、2020年までに8兆円にすることを目標としています。この金額を達成するには、旅行者一人あたりの単価を20万円以上にしなければなりません。そのためには、消費額、滞在日数、地方都市への滞在の増加を考慮したアピールが必要だといえるでしょう。

目標達成に向けた施策とは

インバウンド誘致の目標数値を達成するために、国を挙げてさまざまな施策が行われています。外国人観光客向けの観光事業を行うにあたって、どのような対策が必要なのでしょうか。

通訳ガイド制度

訪日外国人旅行客の受け入れ拡大のため、2017年5月に「改正通訳案内士法」が成立しました。この背景には、多言語に対応している通訳士不足が挙げられます。しかし、実際に法律が改正され通訳士が増えても、コストの問題で通訳士を雇えないという企業は少なくありません。

タブレッド型通訳サービスを導入する

通訳士を雇うのにコストがかかる、人材育成には時間がかかるなどでお悩みの場合は、遠隔操作で通訳者とライブ通話ができる「タブレット型通訳サービス」の導入がおすすめです。月々の定額料金でサービスを受けられるので、通訳士を雇うコストが抑えられます。

受け入れ環境を整えるための補助金

インバウンド誘致を推進していても、交通や宿泊施設で受け入れ環境を整え切れていない現状も、課題の一つです。そこで国は、インバウンドのための設備にかかる資金に対して、補助金を支払う制度を多数用意しています。

  • 宿泊施設インバウンド対応支援事業
  • 地方での消費拡大に向けたインバウンド対応支援事業
  • 交通サービスインバウンド対応支援事業

補助金の対象は上記のような事業が主となり、それぞれの制度によって支給される補助金で行える設備投資に決まりがあります。例えば、無線LANやタブレット端末の導入、外国人向け観光案内所の設立、多言語化システムの導入など、インバウンド誘致には欠かせないものばかりです。

国際観光旅客費の増設

2019年1月から導入される「国際観光旅客税法」は、外国人観光客、日本人観光客を問わず、日本から国外に出国する際に、一律1,000円を徴収するという法律です。ここで集められる税金は、日本を世界にアピールする情報発信や、快適な旅行のための設備投資に使われる見通しになっています。

参考:国税庁「国際旅行旅客税について」

2020年の目標達成に向けた対策を練ろう

2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、インバウンド集客に向けての対策が欠かせなくなってきました。国が掲げた目標を達成し、日本の魅力を世界に広げるためには、国民が観光立国に対する関心を持つことが大切です。目標達成までの過程を分析し、役立つ制度や施策を取り入れながら、インバウント誘致に積極的に取り組んでいきましょう。