テレビやネットなど、各メディアで「インバウンド」という言葉を見かけるシーンが増えてきた現在。
ここ数年のうちに訪日外国人客は大きく増加し、同時に、日本旅行に対しての要望や期待も明らかになってきました。

今回の記事では、日本の政府当局や企業、店舗で行われている、インバウンド向けのサービスや対策などについてご紹介していきます。

インバウンドが思う「日本の不便な点」とは?

外国人観光客は訪日時、日本のいくつかの点を不便だと感じているようです。

観光庁が平成28年に行った調査では、訪日外国人客が旅行中に困ったこととして、

  • 「施設等のスタッフとのコミュニケーションがとれない」(32.9%)
  • 「無料公衆無線LAN環境」(28.7%)
  • 「多言語表示の少なさ・わかりにくさ」(23.6%)
  • 「公共交通の利用」(18.4%)
  • 「両替」(16.8%)
  • 「クレジット/デビットカードの利用」(13.6%)
  • などが挙がりました。

    この結果から、今後日本で行うべきインバウンド対策の改善点は“言語に関するもの”“金銭に関するもの”“Wi-Fiといった通信に関するもの”の3つに分類が可能です。
    それぞれの点について、以下から詳しく見ていきましょう。

    参考:観光庁『訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート』結果

    金銭・支払いに関するサービスを強化する

    日本における金銭・支払いに関するインバウンド向けサービスの種類はさまざま。
    代表的なものは、クレジットカードやデビットカードによる決済です。その他には電子マネー、仮想通貨なども存在します。

    ■クレジットカード決算への対応

    諸外国に比べ、日本ではクレジットカードのような、「キャッシュレス決済」の利用率が低いのが現状です。

    これに対して、経済産業省は「海外発行クレジットカード等での現金の引き出しが可能なATMの普及」や、「地方商店街や観光地等でのクレジットカード等決済端末の導入促進」といった方針を掲げています。

    ■電子マネー決算の導入

    近年は、主に中国人訪日客が利用する電子マネーとして代表的な、「WeChatPay」「Alipay」を用いた決済の導入が広がってきました。

    これに対する施策として、日本の一部コンビニエンスストアでは、平成28年1月からAlipayによる決済を導入しています。さらに、これらの決済の導入を進めている外食産業も増えており、電子マネーへの対応は少しずつ進んでいるといえるでしょう。

    仮想通貨に関しても、大手家電量販店がビットコイン決済の導入を進めており、キャッシュレス決済はこれから普及していくと考えられます。

    参考:経済産業省ニュースリリース

    言語関係のサービス

    金銭に関することと並び、訪日外国人旅行客の主な不満は言語コミュニケーションの面にあります。
    こういった問題に対し、日本ではどのように対応しているのでしょうか。

    ■多言語表記の統一・強化

    一つは多言語表記の推進が挙げられます。
    観光庁は『観光立国実現に向けた 多言語対応の改善・強化のためのガイドライン』を策定し、多言語対応・多言語表記に関して、美術館・博物館・自然公園・観光地・道路・公共交通機関などの各分野に共通する指針を設けました。

    平成26年3月には「2020年オリンピック・パラリンピック大会に向けた多言語対応協議会」も発足し、多言語表記は今後さらに広がっていくと予想されます。

    ■通訳サービスの導入

    外国人客に対応するため、「通訳サービス」を導入している企業・店舗が増えています。
    通訳士の派遣や電話通訳など、通訳サービスの種類はさまざまですが、その中でも注目が集まっているのは「タブレット型通訳サービス」です。

    このサービスは、コールセンターと電話でつなぎ、多言語に対応したオペレーターが“テレビ電話”の形式で通訳を行います。
    対応言語の豊富さが特徴で、英語・中国語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語・タイ語・ベトナム語・フランス語・タガログ語など、複数言語に対応可能なサービスもあります。

    こういった多言語サービスを積極的に導入すれば、訪日外国人客のコミュニケーション面での満足度は高まっていくでしょう。

    参考:国土交通省観光庁「観光立国実現に向けた 多言語対応の改善・強化のためのガイドライン」

    Wi-Fi環境におけるサービス

    訪日外国人は日本の無料公衆無線LAN環境にも不便さを感じています。

    しかし、最近は日本でも徐々に無料Wi-Fiサービスが普及しつつあり、JNTO(日本政府観光局)は、利用者の現在地から近くの無料公衆無線LANスポットを表示するサービスを導入しました。

    このような努力が実を結び、平成28年の調査では、前回の訪日時と比べて日本のWi-Fiサービスが『かなり改善している』『多少改善している』という回答が60%を越えており、順調に見直されてきているといえるでしょう。

    参考:観光庁『訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート』

    競合店に埋もれない新しいサービスを

    国内で立てられたさまざまな施策の効果もあり、外国人旅行者に向けた平成28年度のアンケートでは、「日本旅行で不満に思った点はない」という回答もかなり増加しました。

    着実にインバウンド向けのサービスが強化されつつあるため、今回ご紹介した施策も、数年後には”当たり前”になっているかもしれません。

    各企業や店舗では、外国人客への迅速な対応と、競合店の中で埋もれない独自性のある新しい施策が求められていくのではないでしょうか。