訪日外国人旅行者の中には、旅館を好む方々が多くいらっしゃいます。インバウンドで日本を訪れた外国人旅行者は、なぜ旅館を好むのでしょうか。

今回は、旅館の接客に隠されたおもてなしの心や、インバウンド誘致に役立つアピールポイントについてご紹介します。

旅館を好む理由とは?

日本にはホテルや旅館など、さまざまな形態の宿泊施設がありますが、訪日外国人観光客の中には「旅館が好き!」という方々が増加中です。日本独特の宿泊施設である旅館が、なぜ訪日外国人から好まれているのでしょうか。

サービスが細かい

旅館はホテルと違い、女将さんが挨拶にきたり、食事を運び布団を敷いたりといった細やかなサービスを受けられる特徴があります。困ったことがあるときも相談しやすく、アットホームで丁寧な接客は「おもてなしの心」を期待する外国人旅行者にとって、魅力的に映るのでしょう。

和の雰囲気を味わえる

畳やふすまといった日本独特の建築は、インバウンドの心をつかむ存在です。特に、時代劇や歴史、城好きの外国人旅行者にとって、まるでその世界に入り込んだかのような和の雰囲気を楽しめる旅館は、それだけで「旅行先でのアクティビティ」となるのです。

温泉に浸かれる

外国人観光客の中には、温泉に入ってみたいと考えている方も多くいます。しかし、すでに旅行ルートを決定してしまっていると、温泉がある地域に足を運ぶ暇がない場合がほとんどかもしれません。旅館は温泉が併設されているところが多いので、宿泊施設に居ながら温泉体験ができると、好まれる傾向にあります。

旅館を不便に感じる所とは?

実際に外国人旅行者が旅館に宿泊した際、「不便だ」と感じるポイントをご紹介します。少し工夫をすることで外国人観光客にとって、過ごしやすい環境を作れるのではないでしょうか。

天井が低い

旅館は古い日本家屋様式の建築方法で作られている家屋が多く、天井も現代の建築物より低い構造になっています。外国人旅行者は日本人と比べて背が高く、体格がいい方が多いため、天井に頭をぶつけてしまう恐れがあるので、注意が必要です。

天井が低い場所には、「頭上注意」といった多言語表記の張り紙を貼り、けがや事故を防ぐ工夫をしましょう。

布団のサイズが小さい

畳に直接敷いて眠る布団が、外国人旅行者を戸惑わせる要因となることもあります。日本の布団は長さが180~190cm程度のものが多く、身体が大きい外国人客にとっては「布団が小さい」と感じてしまうのです。

予約を受ける際に「お布団は長さが○○cmですが大丈夫ですか?」といった一言を添えると、親切に感じられるでしょう。布団サイズをホームページ上に記載しても、同様の効果が得られます。

温泉の入り方がわからない

多くの外国人客にとって、大きなお風呂にたくさんの人が裸で入るという温泉の習慣が、身近ではないため、入り方やマナーが分からないケースが増えています。温泉の更衣室に「温泉の入り方」を、わかりやすくまとめたポスターを貼るといいでしょう。

かけ湯をしてから湯船に入ることや、タオルをお湯に付けないなど、日本人にとっては当たり前のことでも外国人旅行者にとっては戸惑うことが多いものです。イラストや記号、多言語で分かりやすく説明しておけば、慣れない方でも安心して温泉が楽しめます。

旅館から学ぶこと

旅館が行っている心遣いは、接客業・サービス業に従事する人々にとって、学ぶべきところがたくさんあります。旅館で感じる接客の心を学び、外国人旅行者に対する接客サービスに活用しましょう。

日本の良さを伝える

旅館では、古い家屋を大切に使用したり和食を提供したりするなど、訪日外国人観光客に対して「日本の良さ」を伝えています。旅行者一人一人に「安らかな時間を過ごしてもらう」というおもてなし精神が、旅館には根付いているのです。

不便さを感じさせない心遣い

宿泊してくれた人に対して、不便さを感じさせずリラックスしてほしいという心遣いを徹底しているのも旅館の特徴です。女将さんが部屋や施設の説明をしてくれたり、料理の好みや食べられないものを聞いてメニューを変えてくれたりといった、宿泊客に合わせたサービスは、人の心を感じる暖かい心遣いとして、外国人旅行者に伝わるでしょう。

今後の対応

日本らしさを感じてもらえる旅館ですが、さらに旅館を利用してもらえるように、以下のポイントを押さえておきましょう。

ホームページの多言語化

旅館の雰囲気を伝えるために便利なホームページは、英語や中国語、韓国語といった多言語に対応させるといいでしょう。写真と説明を見ながら旅館のイメージをつかむことで、「ここに泊まりたい」という外国人旅行者の気持ちを高める効果があります。

スタッフの多言語対策

実際に外国人旅行者が宿泊した際、言語で不便な思いをしないように、多言語対策が必要です。旅館全体でタブレット型通訳サービスを導入することで、遠隔での通訳サービスを受けられるようになります。スタッフにはタブレットの設置場所や使い方を研修し、誰でも簡単にサービスが利用できる環境を作りましょう。

館内の多言語表記

温泉の入り方、非常口の案内、部屋のインフォメーションなどは日本語だけでなく、多言語で表記しましょう。簡単な説明は多言語表記の案内を見ながら行い、細かな説明はタブレット型通訳サービスを利用するといった言語対策を行えば、外国人旅行者がストレスを感じることなく宿泊を楽しめるはずです。

クレジット決済の導入

日本は、世界に比べてキャッシュレス化が遅い傾向にあります。海外ではほとんど現金は持ち歩かない人も多いので、クレジット決済の導入を検討しましょう。クレジット決済の案内は、目立つ所に表記しておくと、より効果的です。

旅館の「おもてなし精神」を世界に発信するには

旅館で受けられる丁寧なサービスとおもてなし精神を、世界から訪れる訪日外国人旅行者に発信するためには、分かりやすい説明と多言語の充実が不可欠です。日本の細やかな心遣いを外国人観光客に伝えるためにも、旅館を「日本の魅力」としてアピールしていきましょう。