インバウンド誘致が活性化する現在の日本。ですが、東日本大震災で大きな打撃を受けた東北地方は一時期、訪日外国人旅行者が激減してしまいました。
しかし、東北地方ではその魅力を伝え、インバウンド集客を活性化させるためにさまざまな取り組みが行われています。

今回は、東北地方における震災前後のインバウンド推移と、実際に行っているインバウンドに対する施策、そして今後の課題について解説します。

東北を訪れるインバウンドの推移

平成23年に発生した東日本大震災の影響により、東北地方では一時的に訪日外国人旅行者の数が激減しました。しかし、東北地方の自治体が行ってきた取り組みによって、インバウンド集客は飛躍的な改善を見せています。

震災後の水準をはるかに上回る集客数を記録

平成22年には約50万人だった外国人宿泊者数は、平成23年には約18万人まで減少し、平成24年から26年も、約20万人から35万人程度と低迷が続いていました。

しかし、平成27年には前年の約35万人を大きく上回る約53万人を記録し、震災前の水準を上回る結果となりました。さらに、その後の平成28年には前年を上回る約63万人を記録し、震災前より約120%のインバウンド集客数増加を実現しています。

全国的な比率には満たない現状も

独自の取り組みによってインバウンド集客を取り戻しつつある東北地方ですが、日本全国の伸び率にはまだ追い付いていないのが現状です。

東日本大震災は全国的にインバウンド集客に影響を与え、震災後には外国人来訪者の数も約622万人程度に落ち込みました。しかしその後、驚異的な伸び率を記録し、2018年には約2400万人を達成。約280%もの増加を記録しています。今後、東北地方が全国のインバウンド集客の勢いに乗るためには、さらに積極的なインバウンド誘致に向けた取り組みが必要となるでしょう。

参考東北運輸局「東北地方における観光の現状」

実際に行っている施策

東北地方では、インバウンド誘致を活性化するためにこれまで、さまざまな取り組みや施策が行われてきました。ここでは、東北地方各県が行ってきたインバウンド集客への取り組みをご紹介します。

飛行機の直行便

東北地方の空港には、台湾やソウルなどから多くの直行便があります。空港から観光スポットへの交通機関を充実させ、東北地方の周遊旅行を行いやすくすることも施策の一つです。

東北地方を巡りやすい環境が整えば、その分地元に足を止めて観光を楽しむ訪日外国人旅行者数も増加するでしょう。東北地方ではこのように自治体、企業が一丸となってインバウンド施策を進めているのです。

外国でのPR活動

諸外国に対するPR活動は、インターネットを介して活発に行われています。
東北観光推進機構では、東北6県で共同制作した「Autumn Colors in Tohoku, Japan(東北の秋)」というプロモーション動画を発表。世界中で再生され、その再生回数は890万回を突破しました。このような動画は、その地域の魅力や文化をありのままに世界中に発信できるので、インバウンド集客の場でも大きな注目を集めています。

参考東北観光推進機構

今後の課題

東北にどれだけ素晴らしい観光スポットがあっても、訪日外国人旅行者が旅行しやすい環境を整えなければ、旅行者数を増加させることは難しいでしょう。今後、東北の魅力を世界に伝え、インバウンド集客を活性化するには、以下のような課題を改善していく必要があります。

認知度が低い

東北地方は日本の伝統的な文化や世界遺産、文化遺産、感動的な自然の姿など多くの観光スポットが存在しますが、外国人観光客に対する認知度が低いことが大きな課題です。同じ日本文化を味わえる場所でも、京都や大阪、東京といった都市は海外への認知度が高く、行き先にピックアップされやすくなっています。

今後、インバウンド集客を増加させるためには、東北地方には何があって、どんな旅行ができるのか、どういったコトを楽しめるのかといった具体的なアピールを積極的に行い、世界的な認知度を高めていくことが大切です。

Wi-Fiが少ない

観光先進国を目指す日本では、訪日外国人旅行者が多い都市でフリーWi-Fiを提供し、インターネット通信を気軽に使用できる環境を整えています。「メールアドレスを登録すると、1回○○分無料で使用できる」といった使い方が多いフリーWi-Fiは、旅行者が地図を調べたり周辺地域の情報をチェックしたりする際に、大きく役立っています。

しかし、東北地方ではこのフリーWi-Fi環境が少ないという問題が挙げられています。
空港や一部飲食チェーン店で無料のフリーWi-Fiが提供されていますが、街中で気軽に使えるWi-Fiはあまり多くありません。また、フリーWi-Fiがどこで提供されているのかも分かりづらく、その使い方も複雑なものが多いため、外国人観光客がネット環境を重視したとき、旅行先に選ばれづらくなっているのが現状です。

多言語に対応していない

訪日外国人観光客が増えれば、重要視されるのは言語の多様化です。現在、日本に訪れているインバウンドの出身国は、アジア諸国やヨーロッパ、アメリカなど多岐にわたっています。そのため、観光施設やレジャースポット、飲食店でも多言語による接客が必要です。

多言語に対応している通訳士を雇ったりタブレット型通訳サービスを取り入れたりと、多言語に対応していかなければなりません。

課題を解決して集客拡大へ

東日本大震災は、人の心にもインバウンド集客の面においても日本に大きな傷跡を残しました。しかし現状は、来日外国人者数が震災前水準を突破し、インバウンド数が増加しています。京都や東京のように有名な観光地だけでなく、東北地方にも訪れてもらうためには、外国人観光客が過ごしやすい環境を整えることが急務といえるでしょう。