日本を訪れる外国人観光客数は、ここ数年増加傾向にあります。しかし日本国内では、さまざまな国から訪れるインバウンドに対しての「多言語対応」が遅れているのが現状です。

今回の記事では、訪日外国人客の傾向と、多言語表記や通訳サービスの導入による効果などについてご紹介していきます。

訪日外国人客の傾向

外国人旅行客への対応を考えるには、現状の訪日客の傾向について把握することが大切です。まずは、日本を訪れる外国人観光客の人数や国籍などについて解説していきます。

日本での外国人客数が増加している

2017年の訪日外国人数は、過去最高の2,869万人となり、その旅行消費額は4兆円を大きく超えました。日本で生活する外国人住民も増加を続け、2017年6月末現在の法務省統計によると、中長期在留者数と特別永住者数を合わせた在留外国人数は247万人を超え、こちらも過去最高となっています。

日本での「コミュニケーション」に困っている外国人客が多い現状

観光庁が外国人旅行者に行ったアンケート調査によると、彼らが旅行中に困ったことの、1位は「無料公衆無線LAN環境」で全体の36.7%、2位が「コミュニケーション」で24.0%、3位が「公共交通の経路情報の入手」で20.0%と続いています。

「コミュニケーション」は言葉が通じない問題、「公共交通の経路情報の入手」は多言語表記の少なさが問題となっており、言葉の壁は、快適な訪日旅行を妨げる、大きな問題といえるでしょう。

現状の大きな課題は「多言語対応」

国土交通省による訪日外国人2017通年速報によると、訪日外国人の国別内訳は、中国・台湾・香港・韓国が全体の7割を超える結果となっています。

そのため、観光地周辺の宿泊施設や飲食店、各種小売店などでは、ここ数年で中国語・韓国語・英語の3か国語の表示が増えてきました。しかし、全ての観光地や店舗が3か国語に対応しているわけではなく、その他の言語への対応はほぼしていないのが現状です。

参考:『日本政府観光庁 2017年訪日外客数』

さまざまな企業・店舗で対応が求められている

訪日外国人数が過去最高を更新する中、日本へ何度も訪れるリピーターも増加傾向にあります。これにより、近年では、滞在中の過ごし方が買い物中心の「モノ消費」から、日本固有の体験やサービスを楽しむ「コト消費」へと移り変わってきました。

コト消費は茶道華道伝統楽器温泉など、伝統文化や歴史を理解できるものから、アニメ関係のイベントやメイドカフェなど最新の日本文化と多岐に渡ります。このように、現在では都市の規模、業種に関わらず、多言語対応の必要性は全国に広がっています。

通訳サービスの導入による効果

多言語対応の方法のひとつとして、「通訳サービス」の導入が挙げられます。通訳者や通訳・翻訳機能をもつアプリなどがこの通訳サービスに当てはまりますが、具体的にはどのような効果が期待できるのでしょうか。

多岐にわたる通訳サービスの種類

かつての通訳サービスといえば、通訳者を雇用したり、派遣を依頼したりするケースが主流でした。

最近ではテクノロジーの発達により、スマートフォンやタブレット向けのアプリケーションを用いて買い物や飲食、道案内といったシーンでの簡単な会話が翻訳可能です。たとえば、Google 翻訳のスマートフォンアプリは、あらかじめ翻訳データをダウンロードしておくと、オフラインでも場所を選ばずに使用できます。

器械による翻訳の問題点

簡単な会話なら、現状の機械翻訳でもカバーできるでしょう。しかし、商談や商品の問い合わせといった複雑な会話や、事故や災害といった非常時の意思疎通には、翻訳・通訳アプリの機能では十分な対応ができません。

多言語対応ができる人材採用や育成には多大な時間と費用がかかり、すぐにビジネスレベルにまで育成するのはかなり難しいのが現状です。

「タブレット型通訳サービス」の利点

最近では、訪日外国人と通訳オペレーター、現場の担当者の三者でリアルタイム会話ができる「タブレット型通訳サービス」が登場しました。スマートフォン、タブレット、PCの画面上でテレビ会議のような会話が可能です。

海外を含めた複数箇所にオペレーターが待機しているシステムなので、必要な時に常時サービスを受けられ、災害時などでもサービスが停止せずに提供できる強みもポイントに。三者間での通訳オペレーターサービスにより、さまざまな場面での多言語対応が可能になると期待されています。

多言語表記による効果

宗教信仰やライフスタイル、嗜好において、多様な背景をもつ訪日外国人旅行者たちも多くいます。そんな彼らに対応した食品メニューに多言語表記があると、喜ばれるでしょう。

たとえば、フードアレルギー防止として「ピーナッツや小麦の含有有無」、ベジタリアンビーガン向けには「肉類の不使用」、イスラム教徒向けには「ハラル処理済み」などです。これらの注意書きを多言語表記しておくことで、トラブル回避ととともに、売り上げアップにもつながるかもしれません。

対応言語を拡張して今後に備える

2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えた日本では、多言語対応の重要性が高まっています。対応言語の拡張と、必要になる頻度が高い英語と中国語、韓国語の3か国語では、表記の一貫性と翻訳の精度アップがこれからの課題です。

言葉の壁をなくすことで、日本の得意とするおもてなしや日本の素晴らしさを満喫し、リピーターとして何度も日本を訪れる外国人が増加していくでしょう。