外国人旅行客の誘致に成功し、インバウンド需要が増加している現在の日本。小売業やサービス業の売上確保のため、多言語サービスの重要性がますます高まっています。しかし、従業員の教育や通訳の雇用などは時間、金銭面での負担が大きく、導入が難しい企業や店舗も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、手軽に多言語サービスを導入できる“タブレット型通訳サービス”についてご紹介していきます。

今注目の多言語サービス

人口減少により、観光の国内需要の縮小が見込まれるなか、日本政府や自治体は、外国人観光客の誘致に積極的に取り組んできました。これに伴い、都市部や観光地の宿泊施設や小売店では、訪日外国人の利用客が増加し、さまざまな外国人向けサービスが導入されています。

企業・店舗で行われているさまざまな対応策

訪日客向けのサービスとしては、“電子決済サービスを用いた支払いの簡便化”“他言語記載のメニューの準備”“ハラール食品メニューへの対応”“礼拝スペースの確保”“トイレや入浴時といった公衆マナー用マニュアルの準備”など、異なる言語や文化をもつ顧客への対応が進められています。

いずれにしても、多彩なニーズに応じて質の高いおもてなしのサービスを提供するためには、多言語コミュニケーションの手段を確保することが重要です。

「タブレット型通訳サービス」の可能性

今、注目されている多言語化サービスの一つに、「タブレット型通訳サービス」があります。タブレットを通信端末として利用し、必要に応じて利用できるこのサービスでは、場所と時間を選ばずに通訳を受けることが可能です。

サービス会社によって対応言語は異なりますが、多くのサービスでは英語、中国語、韓国語などの訪日客の多い言語を網羅しており、多国籍の顧客に対応できます。さらにタイ語スペイン語ポルトガル語などに対応しているサービスもあり、これまで顧客の多国籍化により抱えていた、多くの課題を払拭できる可能性を秘めています。

課題を解決できる理由

通訳担当者を雇用したり育成したりするケースでは、時間やコスト面での負担が課題となっていました。それに比べ、タブレット型通訳サービスでは、担当者の勤務時間や言語習熟度に縛られず、高い品質の通訳サービスを24時間いつでも受けられます。

さらに、タブレット端末は場所を取らず、持ち運びも自由。端末を一台用意すれば、どこにいてもコールセンターに接続し、サービスを受けることが可能です。使い勝手がよく、利用する業種や店舗形態を問わない気軽さも、タブレット型通訳サービスの魅力といえるでしょう。

導入事例

タブレット型通訳サービスは、すでにさまざまな業界で利用されています。実際の導入例を、いくつかご紹介します。

ホテルでの導入事例

2012年、北海道は航空便路線の開設や短期滞在ビザの免除などにより、アジア圏からの外国人旅行者が増加しはじめました。これをきっかけに札幌のあるホテルでは、英語以外の言語対応を行うため、タブレット型通訳サービスを導入。利用するシーンはチェックイン、チェックアウトのタイミングが多く、お土産や荷物の郵送の説明時に利用しているケースが多いようです。

そのほか、利用客の7割を海外ゲストが占めている、観光地周辺のホテルでも導入事例があります。中国語、韓国語を話せるスタッフの人数が限られているため、対応できるスタッフのシフトが入っていない間は、タブレット型通訳サービスを利用しているそうです。

観光地での導入事例

沖縄のレジャー施設では、体験型イベントの説明受付などにタブレット型通訳サービスを採用。「観光産業が盛んな沖縄では、ホテルや小売店が慢性的な人材不足に陥っており、外国語を話せるスタッフの新規採用が難しい」という理由から、タブレット型通訳サービスで問題の解決を図っているようです。

イベントの説明のほかにも、高額商品の説明や金額交渉といった商談を行う大事な場面でも、タブレットが活躍しています。

店舗での導入事例

女性向けインナーウェアの製造、販売を行っている店舗でも、タブレット型通訳サービスを導入。この店舗は百貨店に出店しており、百貨店内共通の内線電話による通訳サービスを受けていました。しかし通訳者の人数はわずか2人で、増加する外国人客に対応しきれなくなったため、タブレット型通訳サービスの導入を考えたそうです。

こちらの店舗では、必要な時に、いつでも品質の高いサービスを得られる点が高く評価されています。

インバウンド対策の救世主となる

タブレット型通訳サービスは、インバウンド対策として、とくに「導入コストの安さ」「利便性の高さ」が支持されています。このサービスを導入することで、これまで多言語化の大きな課題であった“人材”“コスト”の問題を解決し、純粋に日本のおもてなしに重点を置いたサービスに注力できると期待が高まっています。

インバウンド顧客への多言語化サービスが容易になり、店舗側でサービスの質に注力できる環境が整ってきた現在。日本の良さをどれだけ伝えられるかは、各企業の腕の見せどころとなっているのではないでしょうか。