ここ数年、日本を訪れるタイ人観光客が増えています。タイ人訪日客の増加は、日本のインバウンド市場の発展を考える上で、重要なお客さまとして押さえておきたいポイントといえるでしょう。タイ人旅行者の現状や特徴は、インバウンド産業の更なる盛り上げに向けて、把握しておきたいところです。

そこで今回はタイ人訪日観光客の現状とその特徴、今後さらなるインバウンド需要を高めるうえでの課題について解説します。

タイ人観光客の現状

日本を訪れるタイ人観光客がどのくらい増加しているのか、まずはその現状について見ていきましょう。

出身国別で第6位

2018年の日本政府観光局の発表によると、2017年に日本を訪れた外国人観光客の中で、タイ人観光客数は出身国別に見て第6位となっています。上位は中国や韓国などが占めていますが、東南アジアの中ではタイがもっとも訪日観光客数が多い国です。また出身国別でも8位にランクインし、東南アジアの中では2番目に多いマレーシアからの観光客数に比べて、タイ人の観光客数はその倍以上にもなります。このことからも、東南アジアの中では特にタイ人客の日本旅行がいかに人気かがわかる結果になっているのです。

参考:日本政府観光局(JNTO):2017年度の国籍別訪日外国人数

年々増えている

タイからの訪日観光客数は年々増加傾向にあり、2017年のタイ人観光客数は前年度と比較して9.5%上昇しています。2017年は約100万人のタイ人観光客が日本を訪れており、これは2011年からの6年間では6.9倍も増加している現状を指しているのです。また、2013年にタイ国民に対する訪日観光ビザ免除されたことも、タイ人観光客が増えた背景といえるでしょう。

参考:日本政府観光局(JNTO):国籍別、年別訪日外国人数
日本政府観光局(JNTO):タイの基礎データ

タイ人観光客の特徴

近年インバウンド需要の高まるタイですが、日本を訪れるタイ人観光客にはどのような特徴があるのでしょうか。タイ人観光客がよく訪れるシーズンや人気の観光地について解説します。

4月に訪れる人が多い

タイ人観光客の特徴として、4月に訪れる方が多いという特徴があります。理由はいくつかありますが、春のお花見シーズンに合わせて訪日するというケースが挙げられるでしょう。タイを始め、諸外国でも花が咲き乱れる季節にお花見をする文化はありますが、あくまでも美しい花を観賞するだけのようです。日本のお花見のように、花の鑑賞とお酒を飲むことがセットになっているものではありません。壮大な桜を見ながら仲間と食事やお酒を楽しむ、そんな文化が人気の一つになっていると考えられるでしょう。

またタイには4月に大型連休があります。「ソンクラーン」というタイにおける旧正月で、期間は毎年4月13日から15日まで。この期間はタイ国民の祝日であり、土日がかぶれば振替休日と合わせて4連休になります。またタイ政府の措置で旧正月前後に休日が設定されることもあり、タイ人の方々が楽しみにしている大型連休の一つです。4月は日本も観光しやすい気候なので、その時期に合わせて日本を訪れるタイ人観光客も多いと考えられるでしょう。

地方を訪れる人が多い

タイ人訪日観光客は、東京や大阪などの大都市よりも地方を訪れることが多くなっています。その理由として、リピーター客が多いということが挙げられるでしょう。特に日本は地理的に近いアジアからのリピーターが多くなっていますが、その状況はタイでも同様です。2017年の観光庁による発表では、タイからの訪日観光客の約70%がリピーター客で、リピーター率は国別に見て香港、台湾に続いて3番目でした。

リピーターの観光客の多くは1回目の訪日で大都市の観光スポットは押さえているので、2回目以降は足を伸ばして地方に行くというのが人気のプラン。加えて、タイ人観光客はパッケージツアーよりも個人旅行が多いということも特徴です。自分で旅行先をカスタマイズできるからこそ、人気の観光地は大都市ではなく地方に分散しているといえるでしょう。

北海道が人気

タイには暑季・雨季・乾季の3つの季節があります。乾季は冬に相当しますが、それでも首都バンコクの乾季の平均最低気温は約20度です。タイ北部では乾季に最低気温が10度を下回ることもありますが、基本的には雪は降りません。タイの方々にとって雪は珍しいので、都道府県別では北海道が人気の観光地1位になっています。スキーやスノーボードなどのウィンタースポーツも人気です。タイの季節は日本の四季とは様子が違うので、「日本に行くからには四季の自然を楽しみたい」という理由から、観光地を決めるケースが多くなっています。

今後の課題

近年、タイの方々にとって人気になっている訪日観光ですが、インバウンド産業をもっと活性化するためにはまだまだ課題が残っています。タイ人観光客向けのこれからのインバウンド対策について考えてみましょう。

言語対策

タイ人の訪日観光客数はここ数年で急激に増加しました。そのため、タイ語の対応が遅れを取っています。例えば、公共施設や交通機関などの表記では英語、中国語、韓国語などが対応していますが、タイ語それほど普及していません。今後タイ人観光客がさらに増加するのであれば、彼らがもっと観光しやすいように、多言語表記への対応が必須です。また言葉の障壁をなくすためには、タイ語に対応できる通訳案内士の雇用やタブレット型通訳サービスを展開していくのも一つの方法といえるでしょう。

タイ人観光客に日本を楽しんでもらおう

タイの方々にとって、近年人気の観光地となっている日本。タイ人観光客は地方に足を運ぶことが多いので、地方経済の活性化も見込める大切なお客さまとなっています。そんなタイ人観光客にリピーター客になってもらうためにも、早急なタイ語への対応が求められているのです。