日本を訪問する外国人旅行者は増加傾向にあり、インバウンド産業の経済への重要性は増し続けています。その中でも台湾、香港、韓国などと並んで訪日観光客として重要なのが中国人観光客です。一時期「爆買い」という言葉でも話題になったように、中国人観光客が大量の買物をする姿が家電量販店や地方のお土産屋さんなどで見ることができました。そんな日本経済や個々のビジネスにとっても重要な中国人訪日客のビザが緩和されたことはご存じでしょうか。

そこで今回は、中国人観光客向けのビザが緩和された影響今後の課題について解説します。

2017年にビザが緩和された

2017年に日中間の人的交流を拡大し、政府の観光立国実現及び地方創生の取組みに資するために中国人旅行者に対するビザの発給条件を緩和しました。その詳細はどのようなものなのでしょうか。

有効期限3年1回30日

まず、ある一定の経済力を有する中国人に対して、ビザの有効期限が大幅に伸びました。通常ビザの有効期限はシングルエントリー(一回入国し、出国したら失効)で1カ月程度のものが多いのが現状です。ですが、今回の緩和により日本を訪れる中国人観光客へのビザが一回の滞在期間が30日以内、有効期限3年と相場よりかなり長くなりました。一度中国に帰ってもビザの取得手続きをする必要がないので、中国人観光客にとってはとても便利ですよね。十分な経済力を有する人とその家族に限られるので、全ての中国人旅行者が対象とはなりません。また初回の訪日については、観光目的であることが査証の発給要件に含まれています。

高所得者は滞在期間が伸びる

前述のビザの緩和だけでもかなり良い条件なのですが、さらに相当の高所得者に関しては5年有効、一回の滞在90日という条件でビザ発行が可能になりました。また初回の訪日目的も観光に限定されず、商用や知人訪問の目的でも利用できます。これだけ長く有効になると、日本を訪問するハードルが下がりますよね。またこのビザ発給には、航空券などは旅行社を通じずに手配できることが要件に含まれます。

ビザ緩和による影響

中国人の高所得者をターゲットにしたビザの緩和。インバウンドに対して多くのメリットをもたらしてくれそうです。ビザ緩和によるインバウンドへの影響についてまとめました。

観光客の増加が見込める

今回のビザの緩和により日本を訪問するための手間は大きく下がります。観光先を選ぶ上で、ビザ取得の簡便さは重要な魅力です。このことにより中国人観光客の増加を見込むことができるでしょう。

リピーターが増える

ビザの緩和により、滞在可能日数が増えたため日本での滞在日数が増え、リピーターの増加が予想されます。また3年あるいは5年間有効のビザのため、一度日本を訪問して好感触をもった人が再び訪問するハードルが大きく下がったといえます。

消費が増える

中国人観光客の消費額は他の国の平均と比べても高いといえます。またビザの緩和は高所得者に限られるため、日本国内でのある程度の消費が見込める方が多く、今回の緩和によりインバウンドの消費額が増えるといえるでしょう。

今後の課題について

中国人旅行者の増加を見越して、数々の対策をすることが必要です。今後どんな課題があり、どのような行動を取らなければならないのでしょうか。中国人観光客の増加を見越した今後の課題についてまとめました。

中国語対策

外国人観光客に日本を旅行してもらう上で、一番の障壁になってくるのが言語です。通常ヨーロッパやアフリカなどの国々ではさまざまな言語があるものの、国境を越えても言葉が似ていたり通じたりすることがあります。しかし日本は国境を越えるといかに隣の国でも、言語が全く異なるため言葉が通じません。言葉が通じないとその観光地の魅力を理解して頂けなかったり、文化の紹介もなかなかできなかったりします。多言語表示などでその方にあった言葉で情報を得られるように工夫したり、タブレッド型通訳サービスを導入したりすることがおすすめです。

タブレット型通訳サービスは、新たに中国語と日本語を通訳できる人を雇い入れたり、中国語の勉強をしたりすることなく中国語対策ができることが魅力。中国は北京語や広東語など方言により大きく異なっているので、1台で多くの言語に対応できるタブレッド型通訳サービスが威力を発揮します。

消費行動の促進

中国人観光客にただ日本を訪れてもらうだけでは、インバウンド産業は大きくなりません。彼らが日本国内でお金を使ってくれるような工夫をすることが大切です。以前は、爆買いという形で中国人観光客の日本製品購入が話題になりましたが、現在ではオーストラリアやベトナムなどに一人当たりの消費額は抜かれており、その消費行動はやや落ち着きを見せ始めています。これは電子決済の普及などにより、直接日本に来なくても日本商品を買える流れがある程度できたことを示しているのです。

その一方で、中国の富裕層に受け始めているのがコト消費です。日本の田舎を体験するなど、モノ消費からコト消費への広がりが始まっています。中国国内でも使えるSNSなどを使って日本の各観光地で体験できることを効果的に訴えていく必要があります。

中国人観光客向けビザの緩和でインバウンドを伸ばすために

訪日中国人観光客のビザの緩和と、それに向けた対策についてまとめました。高所得者に対してはビザの滞在期間と有効期限が一般的なビザよりもかなり良い条件になったのです。これにより増加する中国人観光客の心をがっちり掴むために、タブレッド型通訳サービスなどを使い中国語対策を行うこと、爆買いに代表されるモノ消費だけでなくコト消費に関してもしっかりアピールしていくことが重要です。